No.39 |
2018年4月20日 |
全ての米軍とその基地は韓国から出て行け!
北朝鮮に対する米国の挑発行為を打倒せよ!
2017年9月19日―米国は「北朝鮮を完全に破壊する以外に選択肢はない」かもしれない。ドナルド・トランプは本日、国連総会において彼自身初となる演説でそう語った。米国の資本主義支配者たちが北朝鮮に対してほぼ毎日繰り出す威嚇からは、彼らが危険を冒して核戦争を実行する用意があること、そして帝国主義者もその資本主義秩序も正気ではないのを想起させる。トランプは、北朝鮮が、膨大な核兵器庫を備えた世界最強の軍事大国である米国に対し、あたかも危険な脅威であるかのようにわめき散らしている。
人口2千5百万人の北朝鮮は、資本主義強国ではなく、官僚主義的に歪曲された労働者国家である。米帝国主義者たちは、この労働者国家を破壊する衝動に駆られ、挑発行為を徐々にエスカレートさせてきた。3月には、米国防総省は、オバマ政権下で準備されてきた高高度迎撃( THAAD)ミサイルシステムを韓国に配備し始めた。そしてさらにちょうど二週間前にTHAAD発射台を追加配備した。朝鮮戦争以来、米国は韓国に大規模な軍隊―現在では兵員2万8千人以上―を駐留させ、また日本には5万人以上の軍隊を配備し続けている。ここ数ヵ月間、米国は日本の帝国主義同盟者および韓国の売国奴たちと軍事演習を繰り返し実施してきた。こうした軍事的挑発行為には、北朝鮮への侵攻シミュレーション、核兵器施設の破壊、そして北朝鮮指導者の暗殺が含まれる。
9月3日に北朝鮮政府が水爆実験を実施したのに対して、米国は国連という自らの道具を使い、北朝鮮を経済的に締め上げ、過去数年に亘り実現した穏やかな経済成長を覆すことで、北朝鮮を屈服させようと経済制裁を一層強化した。国連は9月11日、繊維製品の輸出禁止、( 外貨獲得手段である)海外の北朝鮮労働者の新たな採用停止、さらに北朝鮮の石油輸入上限設定を含めて、今までで最も過酷な制裁決議を採択した。
米国は、国連安全保障理事会で中国( およびプーチンの資本主義ロシア)の同意を取り付けるため、当初の制裁案を緩和することに同意した。中国は、北朝鮮と同様に、官僚主義的に歪曲された労働者国家であり、北朝鮮の唯一の同盟国である。資本主義支配を打倒した現存する諸国家のなかで最大で最強の国家の中華人民共和国は実際に、この地域の米国による攻撃の究極的な標的である。しかし、中国のスターリニスト支配者たちは帝国主義の圧力に屈伏し、裏切り的にも核兵器開発を停止するよう北朝鮮に圧力をかけた。そしてたとえ国連の諸制裁を完全に実施しないとはいえ、北朝鮮に対する制裁を支持した。そうした帝国主義者に対する譲歩は中国自身の防衛に損害を与えるものにほかならない。
中国は近年、南シナ海における米国の度重なる挑発行為の標的となっており、THAADシステムは中国のミサイルを迎撃するよう企図されている。北朝鮮と交易するいかなる国にも制裁を課すというトランプの脅しは、北朝鮮最大の貿易相手国である中国への圧力を強化するのが狙いである。
北朝鮮と中国で資本主義支配が打倒されて以来、米帝国主義者たちは、民主党と共和党のいずれの政権下においても、北朝鮮の反革命的破壊そして1949年の中国革命を転覆するという目標を追求してきた。こうした運動には、国連の後援の下で遂行された1950-53年の朝鮮戦争も含まれた。この戦争中では米国は核兵器の使用を検討したが、それはただソ連の核兵器保有によって阻止されたのである。
マルクス主義者として我々は、米帝国主義者たちによる中国と北朝鮮への威嚇に反対する。その反対はとりわけ階級線に基づいている。すなわち北朝鮮と中国は、民族主義でスターリニストの官僚が権力の座に居座っているとはいえ、資本主義支配の打倒と収奪に基づく労働者国家である。帝国主義の攻撃と資本主義反革命に対するこうした国家の無条件の軍事的防衛に立つことは、国際プロレタリアートとりわけ米国のプロレタリア階級にとって極めて重要である。そうした立場には、全ての米軍は韓国と日本から出て行けと要求し、北朝鮮に対する制裁は全て終わらせよと呼びかけることも含んでいる。そうした防衛は世界社会主義革命と不可分なのである。
こうした労働者国家の防衛にはまた、同国家が核兵器と実戦配備可能な発射システムを保有する能力を支持することも含まれていなければならない。国連が制裁決議を採決した4日後、北朝鮮はそれに反発して中距離ミサイルを発射し、このミサイルは日本の北海道上空を通過した後太平洋に落下した。日本政府は、北日本でサイレンを鳴り響かせ、ミサイル攻撃から身を守るため建物に避難するよう指示するメッセージを人々に送りつけ、核による全滅の恐怖を煽り立てた。こうした恐怖は、帝国主義日本の再軍備強化を推進する安倍晋三首相の目論みを支持するために利用されるだろう。実際、北朝鮮の核開発計画は防衛的なものであり、帝国主義の攻撃を阻止するのに向けられたものにほかならない。
朝鮮の革命的再統一を!
一般のメディアはたびたび、米国と北朝鮮との間の現在の対立を、気のふれた二人の指導者が世界を核による大量殺りくへと突入させるぞと脅し合っている結果のように描き出している。ドナルド・トランプは、特に彼がツイートしているときには、間違いなく激しやすく予測不能である。しかしながら、トランプが北朝鮮に関して押し進めている政策は前政権の政策に従っており、この労働者国家の破壊を狙っているのである。実際、オバマ自身も核攻撃を含めて北朝鮮を攻撃すると脅していたのであり、B-2ステルス戦略爆撃機を朝鮮半島上空に何度か出動させていた。
北朝鮮指導者の金正恩とその政権については、金正恩の王朝的で神話的で官僚主義的な支配に関し多くの異様で腐敗している事柄がある。しかし、この政権が核兵器保有を追及するのには何も奇異なことはない。それは米国に対する合理的で不可欠な防衛政策である。米国は敵と見なした者に対して核の「先制攻撃」をするぞと公然と脅かしている。もしそうした抑止手段がなかったならば、米国は、近東やその他多くの国々で行ってきたように、すでに北朝鮮を爆撃していただろう。昨年、北朝鮮政府は次のような声明を出し強調した。「イラクのサダム・フセイン政権とリビアのカダフィー政権は」、その兵器開発計画を放棄し「政権交代に躍起となっていた米国と西側諸国の圧力に屈した後では」、「破滅の運命から逃れることなどできなかった。」
朝鮮戦争の恐怖は、北朝鮮人民のその後の世代の記憶に依然として焼き付けられている。第二次大戦が終結した後で、朝鮮半島は、ソ連軍の庇護の下に活動するゲリラ軍により資本主義と地主支配が打倒された北朝鮮と、米国に支持された南朝鮮の残忍な資本主義政権とに分断された。1950年6月、北朝鮮軍が北緯38度線を南に進攻したとき、労働者と農民大衆から解放者として歓迎された。北によるこの進攻は南朝鮮での社会革命の機会を意味していた。それに対抗して、米国とその他の資本主義列強は、北朝鮮に侵攻し半島全土を荒廃させ平壌を破壊した。帝国主義者たちは中国軍兵士100万人を含む約400万人を虐殺した。しかし中国軍の参戦は、米国主導の侵略者たちを押し戻すことに決定的となった。戦争は膠着状態のなかで終結し、米国は現在に至るまで平和条約への調印を拒否している。
中国と北朝鮮における資本主義支配の打倒は、国際的な労働者階級にとり歴史的な獲得物である。同時に、この2つの労働者国家は、政治権力から労働者階級を締め出した民族主義のスターリニスト官僚層により当初から支配されてきた。スターリニストたちは「一国社会主義」建設というドグマを、階級のない豊かな社会を欠乏のただ中にある一国のみで建設できるという神話で説教する。こうした展望は中国や北朝鮮の社会革命を防衛することにとっての妨害物であり、国際的な社会主義革命のための闘争に対置されている。
トロツキストとして我々は、南における社会主義革命と北おける政治革命を通じた朝鮮の革命的再統一のために闘う。こうした労働者国家にたいする我々の防衛にとって重要となるのは、スターリニストの誤った支配者たちを一掃し、こうした支配者たちを労働者民主主義と革命的国際主義に基づく政府に置き換える労働者政治革命のための闘争である。
米帝国主義を打倒せよ!
韓国では、2017年の初め、腐敗した朴槿恵政権に対する何百万人もの激しい抗議行動が繰り広げられるなかで、文在寅が大統領に選出された。その朴槿恵は、労働組合へのすさまじい攻撃を、北朝鮮に対する激しい敵意と結び付けていた。文在寅は、選挙期間中、北朝鮮との対話を約束した。そしてそれによって彼は、北朝鮮による報復の標的になるのを望まない韓国の多くの人の支持を獲得した。しかし、大統領としての文は米国への追従を明確にしている。米国が韓国政府を統制しているのである。実際、戦争の際には米国が韓国軍の軍事行動を指揮することになるだろう。
文在寅は、ソウル南方の村にTHAAD発射台の追加配備を進めたことで支持者の多くを激怒させ、地元住民はその配備に強く反対した。約400人の抗議者が身を挺して発射台搬送を阻止しようとすると、8千人もの警官が米軍の発射台運搬車両を守るために動員された。北朝鮮が日本上空を通過するミサイルを発射した後で、文在寅は北朝鮮を威嚇し、「我々は北朝鮮を破壊し回復できなくする力を持っている」と言明した。この「我々」とは、韓国の追従者たちに補佐される米国だということは明らかである。
北朝鮮との交渉を追求しているのか、あるいは軍事的な威嚇を求めているのか、またはその両方であるのか、いずれにしても帝国主義者と韓国の資本家たちの北朝鮮に対する目標は、この国を強制的に屈服させることである。ニューヨーク・タイムズ紙の論説( 9月6日付)が述べているように、米国のリベラルな意見の中には、「米国による一定の譲歩と引き換えに、北朝鮮政府が核兵器とミサイル実験を凍結するだろう取り引き」へと導く交渉を求める声もある。だがそうした主張の背後にある狙いは、北朝鮮のミサイル発射能力を削ぐことで北の核抑止力を無力にし、攻撃に対してこの国を無防備にしておくことである。
こうした帝国主義の合唱に加わっているのが、イギリス社会主義労働者党( SWP)の韓国における同調者たちである。彼らの機関紙『労働者の連帯』は、「トランプによる戦争への衝動に反対する」一方で、次のように表明している。「北朝鮮の核兵器開発計画を支持することはできない」( socialistworker.co.uk、9月15日)。この政治グループの歴史全体を通じて、彼らは帝国主義から労働者国家を防衛するのをずっと拒否してきた。この政治グループはトニー・クリフによりイギリスで創設された。彼は、1950年、朝鮮戦争中に米英帝国主義に対して北朝鮮と中国とソ連邦を防衛するのを拒絶した後、トロツキスト運動と分裂した。帝国主義者と旧ソ連邦や北朝鮮や中国のようなスターリニスト支配諸国との間で、どちらの陣営にも立たないとするクリフ派の「第三陣営」の立場は、彼らを常に帝国主義者の側に立たせてきた。
韓国には強力なプロレタリアートが存在し、それは鉄鋼や自動車といった戦略的産業部門に集中している。韓国のプロレタリアートは、1970年代と80年代を含めて、巨大な闘争を行ってきた。こうした闘争は、現在、全国民主労働組合総連盟( KCTU)に組織化した独立の労働組合をもたらした。KCTUに加盟した労働組合は労働者の闘争を導き続けており、韓国政府による残虐な抑圧に直面してきた。しかし、KCTU指導部は文在寅を含むブルジョア政党や候補者への支持を表明してきた経歴を持っている。韓国のクリフ派は「改良主義勢力の大多数が文在寅の政府に期待を寄せた」という事実を嘆いている( socialistworker.co.uk、9月15日)。しかし『労働者の連帯』は、2012年の大統領選で( 敗北を喫したが)文在寅に期待を寄せた改良主義者たちの中に、彼ら自身も含まれていたのに触れることはなかった。
韓国の労働者階級は、資本家階級のあらゆる翼からの完全な独立を通じてのみ、自身の階級的利益を推し進めることができる。米政府や韓国政府によるTHAADやその他の戦争の動きに抗議する人々の多くは、平和主義の観点から行動している。必要なのは、レーニン主義-トロツキスト党を朝鮮に鍛え打ち固めることである。この党こそ、韓国における資本主義支配を打倒する闘争の一部として、北朝鮮の労働者国家を防衛しなければならないという理解を、プロレタリアートに浸透させることができるのである。
韓国に駐留する米軍は、北朝鮮だけでなく韓国の戦闘的プロレタリアートにもまた狙いを定めた短剣を意味する。米帝国主義とその軍事的挑発行為に反対し「米国は世界から手を引け」と要求することは、多人種の米国プロレタリアートの極めて重要な利益となる。米帝国主義者たちは北朝鮮を米国の人々への脅威だと宣伝している。しかし実際には、米帝国主義こそ世界を破滅的大戦争に陥れる恐れのあるものにほかならない。朝鮮半島を放射能にまみれた瓦礫にすると現在脅しつけている同じ資本主義の支配階級は、また自国で何百万人もの労働者の生活を破壊しているのである。必要なのは、米国本土でのプロレタリア社会主義革命のための闘争である。スパルタシスト同盟はそうした闘争を導くことができる党の建設に専心している。その党は、社会主義革命の世界党である再度鍛え打ち固められた第四インターナショナルの米国支部であろう。