No.40 |
2019年10月27日 |
中国を防衛せよ!帝国主義者は手を出すな!
香港:反革命の暴乱に反対せよ!
大物資本家を収奪せよ!
以下の記事は、スパルタシスト同盟/米国の機関紙『Workers Vanguard (WV)』1160号(2019年9月6日付)より翻訳したものである。
9月2日―この3か月間、反共主義の暴徒たちは香港中で暴れ回ってきた。彼らは道路を封鎖し、公共交通機関を停止させ、反対者や中国本土の人々を殴打し、レンガや火炎瓶を使って警官隊を攻撃した。抗議者たちは、米国国歌を歌い米国の国旗を振りながら、「トランプ大統領、どうか香港を解放して下さい」と訴える大量に配布したプラカードを掲げた。反中国のデモ参加者たちは立法会の建物を破壊し、英国国旗を掲げ、香港の前植民地支配者を復帰させるよう要求した。抗議者たちは、資本主義香港の飛び地にたいする中国支配を終わらせようと企図し、帝国主義の介入を公然と呼びかけている。
米国国務省は、英国およびカナダの外務省と同様に、こうした反革命の抗議行動への支持を繰り返し公言してきた。米民主党のナンシー・ペロシ議会指導者は、米国による介入を要求し中国政府に対する制裁法を推し進めるに際して、多数の共和党員に合流した。米国の支配者たちは、1949年の革命を転覆し中国を資本主義の奴隷状態に戻し、米国資本家自身が強盗資本家の頭領になるというその戦略的目標の一部として、抗議者たちに資金を提供し、助言を行い、組織するのを支援してきた。
中国は資本主義国家ではなく労働者国家である。しかしながらこの労働者国家は、労働者階級を政治的に抑圧する寄生的官僚カーストの支配によって、創立当初から歪曲されていた。中国共産党(CCP)は、農民を基盤としたゲリラ戦争を通じて権力を獲得して以来、「一国社会主義」というスターリン主義のドグマとその当然の帰結である帝国主義との「平和共存」に追従してきた。CCP体制は、毛沢東の時代から今日に至るまで、マルクス主義の革命的な国際主義綱領に反対してきた。しかし官僚主義の誤った管理や腐敗にもかかわらず、資本主義の打倒は歴史的な社会的進歩をもたらしたのである。40年に亘る「市場改革」が外国からの大規模な投資に導き、個々の資本家を中国本土に出現させる一方で、経済は依然として北京政府によって統制され、最重要諸部門は集産化され、国家によって所有されている。
今日香港において、我々は、反共主義の動員に反対して、警官隊を含め中国の歪曲された労働者国家の諸勢力と軍事的に同じ側にいる。この立場は、帝国主義と国内の反革命に対する我々の中国の無条件の軍事的防衛に由来している。こうした防衛は北京官僚への政治的支持を少しも意味するものではない。北京官僚が「一国二制度」の法規の下で香港の資本主義を支持することは、現在の危機に少なからず責任を負っているのである。社会主義の未来をもたらすというその歴史的任務を労働者階級に意識させようと努めるトロツキストとして、我々の展望は、反革命勢力を阻止するために、香港と中国本土の労働者を動員することである。
1997年、国際共産主義者同盟(第四インターナショナリスト)[ICL]は、英帝国主義者が香港の植民地を放棄したとき、共に拍手喝采した。同時に、我々は、資本主義を香港で維持するというCCPの誓約は中国の労働者国家に突きつけられた非常な脅威になると警告した(「英国の植民地支配者がついに立ち去る―北京のスターリニストは香港の金融家たちに喜んで応じる」、『WV』第671号、1997年7月11日を参照)。1984年、中国の指導者鄧小平は、英国のマーガレット・サッチャー首相にたいして、「これまでの資本主義制度と生活様式」はそのまま維持するとはっきり約束した。
1997年以来、香港は、資本主義の特別行政地区として中華人民共和国に統合され、その特別行政府のあらゆる決定的な重要事項は北京政府の統制下にある。この飛び地に駐屯する人民解放軍(PLA)がそれを保証している。香港基本法は中国の全国人民代表大会によって制定され、この地域の主要な行政官たちは北京の中央政府によって任命されている。香港終審法院の法官たちは、北京政府に承認された行政長官によって同様に指名される。CCPは香港の資本主義を維持することに直接責任を負っており、資本家階級が政治的に組織化され自身の政党や新聞やその他のメディアを持っている。北京の政策は、香港を反革命の温床として、そしてまた帝国主義のスパイ活動や陰謀のための前哨基地として育んできたのである。香港ブルジョアジーは、香港と中国本土自身の労働者を搾取し抑圧している。彼らの利益を擁護することは、こうした労働者に対するCCPの重大な裏切りである。我々は主張する。大物資本家を収奪せよ!
スターリニスト官僚は中国の労働者国家に対する資本主義世界市場の圧力の伝達役として働く。香港における大金持ちの資本家たちに対する闘いは、そのスターリニスト官僚によって促進された腐敗や不平等に対する、中国全土のプロレタリアートの闘争に直接結び付いている。必要とされるのは、スターリニスト官僚を一掃し、労働者、農民、兵士による評議会の手に権力を委ねるプレタリア政治革命である。こうした体制こそ、国際プロレタリア革命という展望に基づき、世界社会主義の秩序のなかで欠乏を除去するための土台を準備するであろう。
帝国主義の策謀
諺にあるように、金を出す者に決定権がある。米国政府の全米民主主義基金(NED)は、香港人権観察や「汎民主主義」陣営の諸政党から、反共主義の国際労働組合総連合に加盟する香港職工会連盟に至るまで、抗議行動の背後にいる諸団体に何百万ドルも注ぎ込んできた。こうした団体が現在の抗議行動の主要な組織者である民間人権陣線の主な構成組織である。反中国の抗議行動で西側メディアの広告塔となっている黄之鋒(ジョシュア・ウォン)もまた、NEDと繋がっている。
ジャーナリストのダン・コーエンが『グレイゾーン』の有益な記事(8月17日)で暴露しているように、抗議行動の主(であり資金供給者)は香港の大物資本家である黎智英(ジミー・ライ)である。アジアのルパート・マードック[米国のメディア王]として知られるライは、誹謗中傷をふれ回り、有名人のゴシップ、反共主義や反中国の偏見に基づいてメディア帝国を築き上げた。ライの出版物は、中国本土からの「アンカーベイビー」[在留許可のための赤ん坊]に反対する排外主義キャンペーンを行ったり、中国本土の人々を香港の資源を食い尽くすために押し寄せるイナゴの大群として描いたりすることで悪名高い。7月、ライはジョン・ボルトン国家安全保障問題担当大統領補佐官、マイク・ペンス副大統領、そしてマイク・ポンペオ国務長官などの要人と会談するために訪米し、北京政府に「抵抗する」ため引き続き支援するよう米国に求めた。ライはのちに次のように公言している。「私たちは香港で、米国との共通の価値観のために中国と闘っています。敵陣地の中でそうした闘いを行っているのです」(CNN、8月28日)。
米国と他の帝国主義列強は、中国における資本主義反革命に向けた多方面の戦略を追求している。一つのアプローチが、香港の抗議行動のような反動的動員に資金提供し、それを促進することである。米国政府はまた、現在の関税戦争のように、その経済力を破城槌のごとく利用しようとしている。こうした関税戦争を通じて、民主党から強固な支持を得たトランプ政権は、中国の経済的、技術的発展を妨害しようと目論んでいるのである(「米国の帝国主義者は貿易及び技術戦争を強化する」、『WV』第1157号、6月21日を参照)。同時に、米国は中国への軍事的圧力を増大し、中国沿岸付近で定期的に軍事演習を行い、南シナ海上空に爆撃機を飛行させ、台湾海峡へ海軍の軍艦を繰り返し派遣している。こうした動きはすべて、米国とその同盟諸国による中国の軍事的包囲戦略の一環である。
米国国務省は最近、22億ドル相当の戦車とミサイル及び80億ドル分の新鋭戦闘機を購入するという台湾の要求を承認した。1949年の中国革命の時から、中国の資本主義政権が台湾へと逃亡した時に、そしてまたその翌年の朝鮮戦争の開始時から、米国は台湾島を米国の「不沈空母」と見なし、将来の戦争の最前線と見なしてきた。ICLは、台湾の資本主義を打倒する社会革命と中国本土のCCP官僚に対する労働者政治革命を通じた、台湾と中国の革命的再統一の立場に立つ。
スパルタシスト同盟/米国は、世界の主要な帝国主義強国における革命家として、資本主義の搾取者を収奪する労働者政府に向けた闘争において、多人種のアメリカ労働者階級を導くことができるレーニン主義前衛党を鍛え打ち固めることに専心している。こうした展望にとって中心となるのは、支配者による世界中の策謀、とりわけ中国の歪曲された労働者国家に向けられた策謀に反対するために、最も先進的なプロレタリアートの層を獲得することである。労働者は、すでに勝ち取った獲得物を防衛することなしに、新たな獲得物を勝ち取ることはできない!
「一国二制度」:中国革命に対する脅威
中国に反対する現在の抗議行動の波を開始するため、今年の春の終わりにデモ組織者たちは、香港特別行政区立法会で議論されていた逃亡犯条例法案に目を付け、この法案が香港の自治権を損なうと主張した。しかし提起された法案がそうした事態を招くことなどなかったであろう。この法案は6月に停止されたが、それは逃亡犯の引き渡しプロセスを単に確立したに過ぎなかったはずのものである。この法案が、香港と他の中国地域の間だけでなく、香港とそうした合意をいまだしていない世界各国との間に引き渡しプロセスを確立するというものであった。この法が、中国本土を外国のように扱うことによって、香港における独自の資本主義統治を維持するというCCPの枠組みに完全に収まっていたのである。ICLはこの法案に関して何らの立場も持っていない。なぜなら我々は、香港が資本主義の飛び地のままであることに反対であり、香港の資本主義を統治する最善の方法に関して北京官僚に忠告しようとするつもりなどないからである。
香港のデモ参加者とそのブルジョア・メディアの情報操作専門家たちは、いわゆる警察の暴力について猛烈に非難した。『ニューヨーク・タイムズ』のようなメディアが取り上げているが、こうした非難は全くの偽善である。実際には、香港警察は極めて自制的であり、抗議行動を阻止するというより、それを封じ込め追い散らすことに重点を置いている。香港警察の行動をミズーリ州ファーガソンでの残忍な警官による非常事態と比較せよ!この非常事態は、2014年に人種差別主義の警官によるマイケル・ブラウン殺害をめぐり抗議行動が始まった後で、ファーガソンに敷かれたものである。
香港で、警察によるこうした自制はCCP官僚の政策を表している。抗議行動の組織者たちは中国の歪曲された労働者国家の打倒を目論んでいる。しかし北京政府は、飛び地の資本家及びその帝国主義支配者との「一国二制度」協定に記されている香港の正式な自治権を尊重するのに苦心している。しかしCCP官僚のこうした譲歩は、抗議者を鎮めるというよりむしろ、彼らを勢いづかせるだけになっている。
香港のブルジョアジーは、抗議行動に関して一致しているわけではない。黎智英(ジミー・ライ)とその同類たちはデモの動員を公然と支持する一方で、香港一の大富豪、李嘉誠(レイ・カーセン)それに何人かの不動産王や銀行業者は最近、冷静になるよう呼びかけている。彼らは抗議行動をめぐる混乱がビジネスに害を及ぼすのを心配している。より広く言うと、何人かのブルジョア金融アナリストは、騒動を阻止する目的のために人民解放軍(又は深圳市との境界越しに配備された中国人民武装警察部隊)が介入することで、資本逃避や香港経済への他の損害が引き起こされるだろうと警告している。
大物資本家の下での香港は、ホワイトカラーの搾取工場という評判を博している。そこでは普段でも社員が日々8時間分の賃金で1日12時間も奴隷のごとくあくせく働いている。CCPによる恩恵で、成人勤労者が両親の家を離れることができず、しばしば狭い部屋を数人が共同で住むという事態にまで、土地投機熱が家賃を吊り上げてきた。世界で最も物価の高い都市の一つに、デザイナーショップや高級ホテルが立ち並び、住民の5人に1人が貧困線を下回っているのである。中国本土からの「移民」は、香港住民の中で最も抑圧された層の幾つかを構成している。一方圧倒的にフィリピンとインドネシアの出身者で占められる香港の数十万人もの家事労働者の窮状は、この飛び地での階級分割をとりわけ鮮明に映し出している。その間に、腐敗したCCP官僚とその仲間や親類たちは、自身の資金を預けるために、また中国から自身の資金を持ち出すために、そしてまた買い物三昧の場として香港を利用している。
香港の勤労者は、中国本土の強力で戦闘的なプロレタリアートの当然の同盟者になるべきである。中国の真の共産主義党ならば、労働者の階級利益に基づき反革命の抗議行動に反対して労働者階級を動員するとともに、抑圧されたプチ・ブルジョアジーの利益も擁護するであろう。大物資本家を収奪し、彼らの所有する不動産を安価な公営住宅に転換することは、香港住民に深く共感を与えるだろう。そして高級な店舗やレストランを労働者によって運営され労働者のための食堂や生活協同組合に置き換えることも深い共感をよぶだろう。
こうした要求は、CCPによる香港ブルジョアジーとの階級協調に鋭く反対するものである。こうした階級協調は、香港や国際的に生じた比較的小規模な、抗議運動に反対した親中国派による行動の政治的基盤となってきた。その行動は大物資本家の利益と合致するよう意図されている。そしてその大物資本家の「愛国主義」は、中国本土への彼らの投資から利益を収めることができることにかかっている。CCPはまた、抗議行動を止めるよう呼びかけるなかで愛国主義に訴えている。スターリニストは行動するよう労働者階級に呼びかけはしない。脆弱な支配的カーストとしての北京官僚は、労働者の動員が自身の支配に対する挑戦になるかもしれないことを恐れているのである。
CCPにとって、香港で資本主義を維持することは、中国とビジネスをするのは安全だと海外資本家に安心させることで、中国本土への外国投資を促進するのに役立つのである。香港は依然として、中国を世界の資本主義経済と結び付ける主要な拠点であり続けている。香港に関する北京政府の政策は、海外の中国ブルジョアジーと帝国主義列強による投資に対して、経済特区を含め中国全土の開放という路線と一致している。
どんな孤立した労働者国家も外国からの投資を追求する必要があるだろう。革命的指導部の下では、このことは、ソビエト(評議会)に組織された労働者階級の民主的な統制の下で行われるだろう。そしてこのソビエトは、中国のような国では、農民評議会によって支持されたものになるだろう。中国の革命的な労働者と農民政府は、労働者の利益において外国投資の諸条件について再交渉するだろう。その一方で、国内の資本家たちは完全に収奪され、彼らの財産は全体として社会の利益に使用されるだろう。1949年の革命の獲得物を防衛し拡大するために、こうした政権は中央経済計画を強化して、外国貿易の国家独占を再度確立するであろう。
どの階級が支配するか?
香港において、「民主的」反革命の最も熱心な推進者の一つは、社会主義行動(Socialist Action)である。このSAという組織は不正にもトロツキストになりすましている。(SAは、米国の社会主義オルタナティブと同様、最近分裂した労働者インターナショナルのための委員会[CWI]の自称多数派の一部である。)SAは、中国を資本主義と決めつけるなかで、抗議行動の組織者に戦術的助言を提供し、さらに「CCP独裁に反対する香港と中国の人々による統一した大衆闘争」を呼びかける一連のビラを発行した(chinaworker.info、7月19日)。SAの主な「貢献」は、香港政府を打倒しCCP政権を打ち負かすための一日ゼネストに向け扇動することであった。SAの綱領は、端的に言えば、労働者をその直接の階級敵、つまり香港ブルジョアジーとその帝国主義の首領に売り渡すというものである。
事実、反革命の抗議行動は圧倒的にプチ・ブルジョアジーを基盤としており、労働者階級に対して敵対的である。8月1日の「銀行家スト」に続き、おおげさに宣伝された8月5日の「ゼネスト」は、主に学生、弁護士、会計士、教師、その他の専門家たちの動員だった。多くの雇用主が従業員に対し休暇を取得して参加するよう促した。抗議者たちが交通を妨害し、公共交通機関を停止させ、運輸労働者を威嚇するなかで、都市は麻痺状態に陥った。同様に、8月12日から13日にかけての空港占拠のあいだ、労働者は攻撃された。そしてこの時世界で最も混雑する空港の一つで何百便もが欠航となった。抗議者たちはさらに、親中派の香港工会連合会の事務所をも破壊したのである。
SAは、北京政府に忠実な地方政府の打倒を企図とした自由選挙の呼びかけを進んで掲げ、香港の反革命陣営内にしっかりと足場を置いている。香港においてSAは、この飛び地が米帝国主義の保護領となるよう、また英国支配の時代に戻るよう要求する人々と団結している。この英国支配の時代には、中国系住民の大多数がむさ苦しいスラム街に住み、極貧の労働者として奴隷のごとくあくせく働く一方で、共産党員や労働組合の闘志たちは系統的に弾圧された。中国への返還に至るまでの間になって初めて、英国支配者は、中国の労働者国家に対する武器として利用するため、僅かばかりの民主的権利を認めたのである。
SAの香港と中国のための綱領は、ソビエトの堕落した労働者国家に対する帝国主義者の運動を熱心に支持したCWIの卑しむべき歴史に合致している。1991年8月から9月にかけて、ミリタントテンデンシー内のCWIの先駆者たちは、モスクワにおけるボリス・エリツィンによるバリケード上で資本主義復活主義者たちに加わった。それとは反対に、我々トロツキストの国際テンデンシーは労働者国家の防衛のために闘った。そしてエリツィンに率いられジョージ・H・W・ブッシュの米国政府に支持された反革命勢力を粉砕するようソビエト労働者に呼びかける何万枚ものビラを配布したのである。
香港の危機によって提起された問題は、「独裁か民主主義か」ではなく「どの階級が支配するか?」という問題である。帝国主義者は、ソ連邦および東欧と中欧の官僚主義的に歪曲された労働者国家を破壊するために、スターリン主義の「全体主義」に反対して「民主主義」の旗を振ったものを含め、ありとあらゆる反動勢力を増進させた。その目的は、あれこれの手段を使って共産党体制を打倒することだった。そうした手段には、労働者国家に反対し、農民と他のプチ・ブルジョア層、それに政治的に後れた労働者を動員可能にする選挙を利用することが含まれている。
もし1949年の革命が転覆されることになれば、何が中国の勤労大衆を待ち受けているか。それを垣間見るなら、旧ソ連圏の国々で今日その事態を見ることができる。こうした国々の生活水準はとてつもなく後戻りしており、そこに存在するような「民主主義」は、すべての資本主義社会を規定する階級独裁のための薄っぺらな見せかけである。ソ連邦における資本主義反革命から四半世紀後、中国は資本主義支配が打倒された残存する諸国家の中で最大である。仮に中国における資本主義反革命が起きた場合、世界の帝国主義にとってさらなる大勝利となり、世界中の労働者と抑圧された人々にとって敗北となるであろう。
ブルジョア民主主義への呼びかけは反革命の呼びかけにほかならない。我々はプロレタリア民主主義の立場に立つ。つまり、経済の発展と社会の組織化について決定する、選出された労働者、農民、兵士評議会の政府の立場に立つ。中国の膨大な労働者階級の指導の下で、農民や香港の会社員といった非プロレタリア部門の人々は、どんな資本主義共和国におけるよりも、社会の運営方法に関して、実際ずっと多くの発言権を持つだろう。ロシアで労働者階級を権力へともたらした1917年の十月革命について、レーニンは次のように説明した。
「官僚機関はまったく破壊され、一物ものこさず破壊しつくされ、旧裁判官は全員追放され、ブルジョア議会は解散された、―そして、特に労働者と農民にはるかに近づきやすい代議制度が与えられ、官吏は彼らのソビエトと取りかえられるか、彼らのソビエトが官吏のうえにすえられ、彼らのソビエトは裁判官の選挙人とされた。この事実があるだけでも、すべての被抑圧階級に、ソビエト権力、すなわちプロレタリアートの独裁のこの形態が、どんなに民主主義的なブルジョア共和国の百万倍も民主主義的であることをみとめさせるのに十分である。」
『プロレタリア革命と背教者カウツキー』(1918年)
天安門事件の真の遺産
SAとCIAに支持された抗議者たちは全体として、彼らの反革命的な試みを、偽って「6月4日」の亡霊と、すなわち北京の天安門広場を中心にした1989年のプロレタリアによる動乱と偽って結び付けている。この動乱は鄧小平のCCP政権によって流血のうちに弾圧された。SAとその仲間は、この1989年の動乱を(ブルジョア)民主主義のための大衆運動として描いている。この動乱は決してそのようなものではなかったのだ!この事件は、学生がさらなる政治的自由を要求し、最上層のCCP官僚たちの腐敗に抗議することで始まった。抗議行動には最初、個々の労働者が参加していたが、それから工場や他の職場からの代表団が加わった。労働者は、市場改革を通じた「社会主義」の建設というCCPの綱領に伴って生じた高インフレと増大する不平等によって、行動へと駆り立てられた。ある若者は欧米流の資本主義的な民主主義に関心を向ける一方で、この抗議行動は、国際的な労働者階級歌である「インターナショナル」の合唱、さらに他の親社会主義的意識の諸表明で圧倒的に多く満ちあふれていた。
この抗議行動のあいだ現れたさまざまな労働者組織は、労働者階級支配の萌芽的な機関の性格を持っていた。弾圧に対して学生を守るために組織された「工人糾察隊」や工場を基盤とする「敢死隊」は、鄧小平による戒厳令に従わなかった。北京政府はほぼ消滅しそして警察が路上から姿を消した後で、労働者の諸集団が公共の安全の責任を引き受け始めた。北京と中国各地における抗議行動に中国のプロレタリアートが加わったことこそ、初期のプロレタリア政治革命を示すものであった。数週間に亘る麻痺状態の後で、CCP政権は、学生抗議者への恐怖ではなく、動員された労働者階級に対する恐怖に駆られて、6月3日から4日にかけて北京で流血の弾圧を開始した。この大虐殺の後でさえ、何百万人もの労働者が中国全土でストライキと抗議をし続けたのである。
労働者たちは計り知れない勇気と闘おうとする意志を示し、自身を社会主義の防衛者と考える兵士たちとの関係を打ち固めた。7人のPLA上級司令官は、人々に対して下された戒厳令措置に反対する請願書に署名した。しかしながら、労働者階級は、官僚の歪曲した支配を打倒する政治革命の必要性を自らの力で理解するまでに至ることができなかった。労働者階級にそうした意識を吹き込むには、革命的なマルクス主義前衛党の介入が必要である。我々は1989年のプロレタリアの英雄たちを追悼する。彼らの闘争は労働者階級の革命的潜在力を鮮明に実証した。
SAとその同類は、中国での資本主義反革命に向けた帝国主義の運動に奉仕するなかで、天安門事件の遺産に唾を吐きかけているのだ。中国革命から70年後、中国は1949年当時のような国ではない。帝国主義列強に略奪され、数十年もの内戦で荒廃した、ひどく後進的で圧倒的な農民社会ではない。けれども、その後の中国の巨大な進歩にもかかわらず、世界経済を支配する帝国主義諸国と比較すると、中国は依然として多くの点で経済的に後れたままである。帝国主義者と中国ブルジョアジーに宥和するという綱領を持ち、プロレタリアートを政治的に抑圧することで、CCP官僚は、1949年の中国革命の獲得物を絶えず掘り崩しているのである。
社会主義、つまり物質的豊富さに基づく階級なき社会を達成するには、今日最も進んだ資本主義諸国の技術や生産力を活用し、そしてそれらをはるかに凌駕する国際的な計画経済が必要なのである。社会主義への道は、資本主義世界のあらゆる国々での、決定的には米国、日本、西欧の帝国主義中心諸国を含めた国々での、プロレタリア革命にある。こうした展望は、官僚主義の誤った支配者を一掃するために、中国プロレタリアートを動員する闘いと必然的に関連している。しかし革命的闘争には革命的指導部が必要である。我々の歴史的手本は、V・I・レーニンとレオン・トロツキーの下で、1917年10月のロシア革命を導いたボルシェビキ党である。この十月革命は世界プロレタリア革命に向けた闘いの口火を切るものであった。ICLは、ボルシェビキの旗を前進させるため、トロツキーの第四インターナショナルを再度鍛え打ち固めることに専心している。